「第二種電気工事士、独学で受かるのだろうか……」
スクールに通う時間もお金もないけれど、しっかり一発合格したい。
そんな悩みを抱えている方に向けて、この記事を書きました。
こんにちは。三刀流エンジニアです。
私は工場の設備設計(機構・電気・ソフト)に20年以上携わってきた現役のエンジニアで、電験三種を含む複数の資格を独学で取得してきました。
現場では多くの若手エンジニアの育成にも関わり、未経験から独学で合格していく姿を何度も見てきた立場です。
結論を先にお伝えします。
✅ 第二種電気工事士は、正しい戦略があれば独学で十分に合格できます。
合格率は比較的高く、市販教材・無料動画が充実しているため、独学環境は整っています。
ただし、技能試験だけは必ず手を動かす練習が必要です。
この記事では、
- 独学でも挫折しない具体的な学習ステップ
- 筆記試験を最小の努力で突破するパターン攻略術
- 独学者が最も不安な技能試験の現実的な対策法
- エンジニア目線で選んだおすすめ教材・工具
を、現場の視点から丁寧に解説します。
工場で働くエンジニアの方はもちろん、「手に職をつけたい」と考えているすべての方の参考になれば嬉しいです。

第二種電気工事士の試験内容をまず把握しよう
戦略を立てるには、まず試験の構造を正確に知ることが大切です。
① 筆記試験(学科)
4択マークシート方式で、100点満点中60点以上で合格です。
| 出題分野 | 内容 |
|---|---|
| 一般問題 | 電気の基礎理論・配線設計(オームの法則など) |
| 鑑別・図記号 | 工具・材料の写真を見て名前を答える(最大の得点源) |
| 配線図 | 図面から材料・工事方法を答える |
| 法令 | 電気事業法など守るべきルール |
② 技能試験(実技)
筆記合格者だけが進める関門です。試験時間は40分。
事前に公開されている候補問題13種類の中から当日1問が指定され、支給された電線・器具で図面通りの回路を完成させます。
合格基準はシンプルで、「欠陥(ミス)が一つもないこと」のみ。点数という概念はありません。
ただし、試験に出る問題は事前にわかっています。繰り返し手を動かして「体が覚える」状態まで練習できれば、40分は決して短くありません。
第二種電気工事士が独学で合格できる3つの理由

① 合格率が約60〜70%と、国家資格の中では高め
国家資格と聞くと「合格率10%以下の難関」をイメージしがちですが、本資格はまったく異なります。
- 筆記試験:約60%前後
- 技能試験:約70%前後(筆記合格者のみ受験)
無対策では当然落ちますが、「落とすための試験」ではなく「最低限の知識・技術があるかを確認する試験」という性格が強い。
真剣に取り組めば、確実に報われる試験です。
② 市販教材・YouTube動画が劇的に充実している
10〜20年前の独学は「分厚い専門書だけが頼り」でしたが、今はまったく違います。
フルカラーのイラスト参考書、プロが手元をアップで映すYouTube動画、スマホで使える過去問アプリ。
「動画でプロの動きを完コピする」という現代の独学スタイルは、ある意味で対面講習会以上に効率的とも言えます。
③ 過去問対策で安定して得点できる
筆記試験は、過去問と類似したパターンが繰り返し出題されます。
計算が苦手でも、「鑑別」「図記号」「法令」をしっかり押さえれば合格ライン60点は十分に超えられます。
過去問を軸に据えた学習は、最も費用対効果の高い戦略です。
独学に必要な勉強時間の目安|社会人はどう確保するか
「仕事をしながら、どれくらい勉強すれば受かるのか?」
これは、工場で働くエンジニアにとって最も切実な問いです。
一般的な目安は約100〜150時間。期間に換算すると3〜4ヶ月が現実的なラインです。
レベル別・勉強時間の目安
- 完全な初心者(電気知識ゼロ): 100〜150時間/4ヶ月前からスタートを推奨
- 電気の基礎知識がある人: 50〜100時間/2〜3ヶ月の集中学習で狙える
1日の学習スケジュール例
- 平日: 通勤電車・昼休みの30分で筆記の暗記。いつもより30分早起きするだけでも大きな積み上げになります。
- 休日: 1〜2時間で計算問題の演習や技能の実技練習。
社会人が合格率60%を突破するための具体的なスケジュールは、こちらで詳しく解説しています。
📖 あわせて読みたい
第二種電気工事士の勉強時間は何時間?社会人が独学で合格する目安と戦略
独学で一発合格するための3ステップ勉強法

闇雲に参考書の最初から読み込むのは、遠回りです。以下の順番で進めましょう。
ステップ①:学科試験は「暗記」から攻める
いきなり難しい計算問題に手をつけてはいけません。
得点しやすいところから崩していくのが基本戦略です。
- 鑑別(写真問題):工具・材料の名前を覚える
- 図記号:図面上の記号を覚える
- 法令・施工方法:決まりごとを暗記する
- 電気の基礎(計算):最後に回す。苦手なら最低限の公式だけでOK
ステップ②:過去問を「2周」繰り返す
学科試験は過去問の類似問題が非常に多く出題されます。
- 1周目: 分からなくてOK。解説を読みながら試験の傾向を掴む。
- 2周目: 自力で解く。間違えた問題・曖昧な箇所だけを重点復習。
すきま時間でこの2周を完遂できれば、合格ラインの60点には届きます。
ステップ③:技能試験は「YouTube」を教科書にする
独学者の最大の壁ですが、今は無料の最強教材があります。
- 複線図の書き方を覚える: 回路を理解する基礎。まずここから。
- 動画でプロの手元を見る: ケーブルの剥き方、器具への接続など、無駄のない動きを繰り返し見る。
- 実際に手を動かす: 動画を止めながら、同じように作る。これを反復。
独学で落ちる人の3つの共通点

合格率が高い試験とはいえ、不合格になる人には明確なパターンがあります。
20年以上のキャリアの中で、惜しくも合格を逃した方を見てきた経験から整理しました。
① 技能試験の練習を後回しにする
「まずは筆記をパスしてから、技能の準備をしよう」という考え方が最も多い失敗パターンです。
技能試験は「知識」ではなく「スポーツ」に近く、短期間で急激に上達するものではありません。
筆記の合格発表を待ってから道具を揃えると、慣れない工具の扱いに苦戦して本番に間に合わないリスクが高まります。
② 過去問を「解くだけ」で理解していない
過去問を回すのは正解ですが、答えの番号だけを暗記するのは危険です。
「なぜその答えになるのか」「この配線図にはどんな意味があるのか」を意識せずにいると、少しひねった応用問題で一気に失点します。
図記号一つでも「実物はどんな形で、どこに使われるか」を頭に浮かべながら解くことが、合格への分かれ道です。
③ 工具の扱いに慣れていない
技能試験の最大の敵は制限時間(40分)です。
不合格になる方の多くは、技術不足ではなく「工具の扱いに慣れておらず時間をロスした」ことが原因です。
VVFストリッパーで電線を剥く感覚、圧着工具を握る力加減——これらが体に染み込んでいないと、本番の緊張の中でケアレスミスを連発してしまいます。
✅ 失敗を避けるための3つの鉄則
- 過去問は「なぜ?」を大切にしながら2周する
- 筆記の勉強と並行して、少しずつ道具に触れる
- 毎日5分でも良いので、電線を剥く・繋ぐ練習をする
20年設備設計をやってきた私が、あえて独学を勧める理由

単に「お金が浮くから」ではありません。
エンジニアとしてのキャリアを長く続けるための、生存戦略として独学を勧めています。
①「自分で調べ、解決する力」がエンジニアの寿命を決める
現場でトラブルが起きたとき、新しい技術(協働ロボット・AIなど)を導入するとき、私たちは常に「答えのない問い」に直面します。
誰かに教わるのを待つのではなく、自ら資料を探し、構造を理解し、解決策を見出す力。
独学で資格を取るプロセスは、まさにこの基礎体力を鍛える最高のトレーニングです。
②「学び続ける習慣」が自分をアップデートし続ける
私が電験三種までたどり着けたのは、決して頭が良かったからではありません。
第二種電気工事士という一歩から、「毎日少しずつ、自分で学ぶ習慣」を身につけたからです。
PLC設計、3次元CAD、最新のロボット制御——製造業は変化が激しい世界です。
新しい技術を吸収し続けられるのは、資格試験を通じて「自分をアップデートする成功体験」を積み重ねてきた人だけだと、現場で実感しています。
③ キャリアの選択肢を広げる「自信」になる
私はこれまで3回の転職を経験しました。
その際、履歴書の資格欄は「私はこれだけのことを自力でやり遂げられる」という、何よりの証明になりました。
独学で合格を勝ち取ったとき、手に入るのは免許証だけではありません。
「自分は独力で新しいスキルを身につけられる」という、将来への揺るぎない自信です。
独学におすすめの教材・工具セット

独学の成否を分けるのは教材選びです。
数ある選択肢の中から、私が自信を持っておすすめできるものを厳選しました。
筆記試験:「すい〜っと合格」シリーズ(筆記版)
学科試験の対策として、最初の一冊に選ぶべきはこれです。
- 圧倒的な図解量: 専門用語や配線図もすべてイラスト・写真で解説。仕事終わりの疲れた頭でもスムーズに入ってきます。
- 「出る順」の構成: 得点しやすい「写真問題」から始まる設計で、挫折しにくい。
- 過去問との連携: 解説と過去問がリンクしており、学んだ知識をすぐアウトプットできる。
まずこの一冊をボロボロになるまで使い倒すことが、合格への最短距離です。
📖 詳しいレビューはこちら
すい〜っと合格の詳細レビュー記事| おすすめテキストTOP5まとめ
技能試験:「すい〜っと合格」シリーズ(技能版)
筆記版と同じシリーズの技能版です。
写真が豊富で公式動画とも連動しているため、筆記から技能まで一貫して同じ著者・スタイルで学べるのが最大のメリットです。
複線図の書き方から候補問題13問の完成手順まで、ていねいに解説されています。
技能試験に必要なのは「工具」と「練習材料」の2つ
技能試験の準備で忘れがちなのが、工具と練習材料はまったく別に用意する必要があるという点です。 どちらも必須なので、早めに両方揃えておきましょう。
工具セット:HOZAN DK-28
現場のプロも信頼するHOZAN(ホーザン)のDK-28が定番です。
- 電線の被覆を剥くVVFストリッパー(P-958)が付属——作業効率がまったく変わります
- 圧着工具(P-737)、ペンチ、ニッパ、ドライバー類、電工ナイフと、試験に必要な工具が一式揃っている
- 試験後も現場・DIYで一生使い続けられる品質
練習材料セット:HOZAN DK-52(2回分)
候補問題13問を実際に練習するための電線・器具の材料セットです。
DK-52は2回分の練習材料が入っており、1回目は動画を見ながら確認、2回目は本番を想定したタイム練習、という使い方ができます。
- 必要な材料が過不足なくセットになっており、自分で買い集める手間が省ける
- 2回分あることで、1回目の失敗を気にせず練習に集中できる
📖 工具・材料セットの詳細比較はこちら
独学が向いている人・難しいと感じる人

「独学でいける」とお伝えしてきましたが、向き不向きはあります。
ご自身の環境と照らし合わせて、最適なルートを選んでください。
独学に向いている人
- スクールに通う時間が取れない社会人: 自分のペースで隙間時間を使える独学がベスト
- 工業系の知識が少しある人: オームの法則を知っている・図面を見たことがあるだけで、筆記のハードルはかなり下がります
- DIYや工具に触れるのが好きな人: 道具への抵抗がなければ、技能試験の練習もスムーズ
独学が難しいと感じる人
- 一人だと挫折しやすいタイプ: 誰かにペースメイクしてもらいたい方
- 技能の細かなコツが動画だけでは掴めない: 直接手元を指導してもらうのが近道です
- 一発合格を「確実に」狙いたい: プロに教わることで試行錯誤の時間を大幅短縮できます
難しいと感じたらスクール(通信講座)も選択肢
「独学=偉い、スクール=甘え」ではありません。
エンジニアにとって時間は最大の資産です。
スクールを使えば、合格に必要なポイントだけを効率よく学び、技能試験の欠陥をプロの目でチェックしてもらえます。
数万円の投資で合格を確実にし、早く資格手当をもらったり次のキャリアへ進んだりする方が、トータルではプラスになることも多いのです。
📖 文系・未経験の方はこちらも参考に
まとめ|第二種電気工事士は独学でも十分合格できる
改めて整理します。
✅ この記事のポイント
- 合格率は比較的高く、教材も充実しているため、独学での合格は十分現実的
- 筆記は「暗記→過去問2周」、技能は「YouTube+実技練習」が基本
- 失敗パターンは「技能を後回し」「過去問を番号で暗記」「工具に慣れていない」の3つ
- 独学で得られるのは免許証だけでなく、「自分でやり遂げる力」という資産
私もひとつの資格取得から人生が動き出しました。
独学で得た「やり遂げる力」は、どんな壁に直面しても あなたを助けてくれる財産になります。
キャリアに悩んでいるなら、まずは参考書を1冊手に取るところから始めてみてください。
その一歩が、数年後のあなたを支える大きな自信に繋がっているはずです。
あなたの挑戦を、心から応援しています。
— 三刀流エンジニア



